北京紀行12

ニーハオ。
最終日の午前中は自由行動だ。宿の近くにお土産屋台通りがある。お土産のほかにも蠍の串揚げなども売っているエキサイティングストリートである。その通りの入り口付近のお土産屋台でパンダのマトリョーシカが売っていた。その発見にちょっと興奮してしまい「パンダのマトリョーシカだ!」とエクスクラメーションマークを付けて発言してしまった。その声を聞きつけた売り子さんが「パンダのマトリョーシカ欲しいの?」と売り込みを開始してきた。「これ200元よ」と言う。「高い。」と答えると、「じゃあ、いくらなら買うの?」と返してくる。「20元」と答えた。「ダメダメ」と売り子さんが言う。そして売値を150元・100元・80元とだんだんと下げてきた。でもパンダをよくよく見ると薄気味悪い顔をしている。小学生の夏休みの宿題よりもクオリティーが低い。こんなモノにカネを払えるかと思いその場を立ち去った。2・3歩進むと売り子さんが「35元!」と浴びせかけてくる。私はキモイパンダはいらぬとそ知らぬ振りをしたが、父が値下げ交渉でテンションが上がってしまったらしくとちくるって「買ったー!」と交渉を成立させてしまった。一個先の店に丁寧に作られたパンダのマトリョーシカがあり、さらに先の店にはもっと丁寧に作られたパンダのマトリョーシカが売っていた。
お土産ストリートをさらに進む。パンだの絵柄のマグネットを見つけた。別段欲しくもなかったけれども北京記念になるかもしれないと思い100円ぐらいだったら買おうと、売り子さんに値段を聞いた。「85元。」と言う。脳内計算によると日本円で千円だ。高い。こんなの絶対100円ショップで売っている。フンと鼻息を漏らす。そうするとマグネットをいっぱい貼り付けた板に85元と手書きされている。それを売り子さんが指差す。「そんなのいくらでも自分で書けますから」と思い、また鼻息を漏らす。「じゃあ、いくらなら買うの?」という感じで売り子さんが紙とペンを差し出してくるので「2元」と書いて返した。売り子さんが「相手にならないわ」という態度をとってくる。面倒臭い交渉が始まった。品の良い育ちなものだから値下げ交渉は性にあわない。絶対損をしている20元でマグネットを買った。曲がり角からその屋台を覗き見ると売り子がほくそ笑んでいた。